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ドイツから北杜市へ 地域おこし協力隊としてサスティナブル農業を通して地域活性化を目指す

「北杜市移住定住応援地域おこし協力隊」として2022年3月より北杜市に移住してきた船津さん。現在は「FOOD AGRI NEXT LAB株式会社」にて落ち葉堆肥に食品残渣や生分解性素材を混ぜたサスティナブル堆肥を使った野菜や果樹栽培を行っています。

地域おこし協力隊は、都市地域から過疎地域などに住民票を異動し、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこし支援や、農林水産業への従事、住民支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組で、2009年度から総務省がスタートさせた制度です。船津さんは地域おこし協力隊として働くにあたり、全国様々な地域を候補地として探していたそうですが、最終的にこの北杜市を選びました。

ドイツのエンターテイメント業界から日本の農業へ転身

船津さんはもともと東京で音楽イベントを主催する会社で働いており、2018年からはドイツに拠点を移し、レストランなどでの音楽イベントを開催するエンターテイメント業界で活躍をされていました。ドイツはEUのリーダー国でもあり、東西冷戦や共産主義、ドイツ革命などを経験して、自由に対する権利や意識がとても高い国。移民や他民族を受け入れる土台があり、そこからカルチャーが生まれ、音楽に関してもアーティストにビザを発行するなど、多様性を受け入れる寛容さを持った国として知られています。船津さんはそこに魅力を感じ、ドイツへの移住を決心しました。

▲ドイツでの音楽イベントの様子

ドイツに行ってしばらくたったころ、あの2019年末から世界中で猛威を振るったCOVID19の影響により、エンターテイメント業界は大打撃を受けます。例外なく船津さんも仕事がしたくても出来ない日々が続きました。日本でもこの時期は緊急事態宣言が出され行動制限がかけられましたが、それはあくまでも自主規制で強制力が伴うものではありません。しかし、ドイツはでは日本よりも厳しい「ロックダウン」が政府より発令されました。船津さんが住んでいた地域も、スーパーなどの食料品を扱うお店以外はほとんどが休業状態だったそうです。食に関する仕事以外は、ほとんど仕事がない状態に直面して、改めて人が生きていくための根幹である食の大切さを実感したそうです。

昔から食に興味があり、自分の体に取り入れるものには気を使っていたという船津さん。

特にドイツに移住してからは、有機栽培が当たり前のような環境で安全な野菜を手に入れることが出来ていたので、そのありがたさを実感することが多かったと言います。

ドイツでのCOVID19、ロックダウンを経験して、次は安全な食物を自分で育て流通させたいという想いから日本に帰国、未経験から農業への転職を志ました。

“有機農業のまち” 山梨県北杜市を選んだ理由

山梨県北杜市は、「オーガニックビレッジ」を宣言していて、市を挙げて有機農業を応援しています。船津さんが最終的に地域おこし協力隊として北杜市を選んだ理由も、この地域では有機農業が盛んであること、そして水がきれいで、高原の冷涼な気候なので病害虫が発生しにくく、寒暖差があり美味しい野菜が育つこと、首都圏から近いという利便性、そして3000m級の山々に囲まれた環境がどこかヨーロッパの風景に似ていることが決め手だったそうです。全国を見てもこれ以上の条件が良い地域はほかにないと感じたそうです。

▲北杜市の風景

これからの北杜市のために

体力には自信がある船津さんですが、未経験でゼロから始めた農業は色々と大変なことも多かったと語ります。特に夏場は、高原とはいえ日差しが強くかなり体力を消耗します。

また自然を相手にする仕事なので、必要な時に雨が降らない、気温が上がりすぎてしまう、などなどコントロールが難しく計画通りにいかないことも多々あるとか。

しかし、こうして自然に触れられる農業にはとても幸せを感じていると語ります。

今後は無農薬、無化学肥料の農業で、より有機農業や自然栽培に近い形で自然に負荷が少なく、それでいて採算性も重視した理論的な農業を推進していきたいと考えているそうです。

FOOD AGRI NEXT LAB株式会社で農業に従事することは、従来の農業という枠を超えて、農業の様々な可能性を追求することが出来ると感じているそうです。

東京やドイツで培った今までの自身の経験と、都市と地域を結ぶ多様な方法を通して、今後の地域発展のために役立てていきたいと、そう考えているそうです。

(記事番号:1-1-15)

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