SustainableProject

枯れ草を集め、野焼きを体験。富士見高校の生徒が富士見パノラマリゾートで山野草の保全活動に参加

10月下旬、標高約1000メートルの長野県・富士見町では紅葉が見頃を迎えはじめました。富士見パノラマリゾートでも、赤・黄・橙と鮮やかに色づいた葉っぱが、訪れる人を楽しませています。

毎年秋に環境保全のための野焼きを行っている富士見パノラマリゾート。今回は、FOOD AGRI NEXT LABと共同で展開しているサスティナブルプロジェクトの一環で、初めて高校生が野焼きを体験することに。参加したのは富士見高校・園芸科の3年生30人と引率の先生6人です。

まずはゴンドラに乗り込み、標高1780メートルの山頂駅へ。山麓は、日向なら長袖1枚でも快適な気候でしたが、標高差が約700メートルあるゴンドラ山頂駅に着くと……空気が冷たい! 一気に季節が進んだかのようです。冬の到来を感じさせる寒さですが、高校生たちはなんのその。

「釜無ホテイアツモリ」が当たり前に咲く未来

はじめにゴンドラ山頂駅併設の施設で、FOOD AGRI NEXT LAB代表の八木橋さんから、2022年秋より始まったサスティナブルプロジェクトについて説明がありました。(※サスティナブルプロジェクトについてはこちらのページを参照

続いて職員の平井さんから、山野草の保護活動と環境整備についてお話がありました。「紅紫色の大きな花を咲かせるアツモリソウは、昔は町内のあちこちに咲いていたそうです。しかし気候変動や乱獲により、ここ30年の間に激減してしまいました」。南アルプス山系釜無山や入笠山に自生するものは特に、「釜無ホテイアツモリソウ」と呼ばれているそう。近年実施された遺伝子解析により、富士見町のホテイアツモリは、地域内で交配し独自に進化してきた固有の変種であることが明らかになりました。

絶滅危惧種にも指定されている希少な植物を守るため、富士見パノラマリゾートでは敷地内に「釜無ホテイアツモリソウ実験園」を整備し、自生地の保護ともに生育域外保全にも努めています。栽培が難しく、生存率は自生地に近い土壌環境を目指している実験園でもわずか数パーセントなんだとか。平井さんは高校生たちに「興味のある方はぜひこれから一緒に活動していきましょう」と呼びかけ、「将来的には実験園では100の花を、学校など町の公共施設には1000の花を咲かせたい」と力を込めました。

毎年秋に実施している野焼きは、釜無ホテイアツモリソウをはじめとする多様な植物の保全・再生を目的とした環境整備の一環です。外来種や病害虫を死滅させ土中の微生物の働きを整える、枯れ草や雑草が炭化することで土中に溶け込みやすくなり、次年度の植物の生長を促す栄養素になる、などの効果があります。

いざ、野焼きで「伝説の技」に挑戦!

平井さんから野焼きの目的を説明してもらった後は、ゴンドラ山頂駅周辺に広がる「入笠すずらん山野草公園」で実際に野焼きを体験します。高校生たちは枯れ草を集めるための熊手と、水の入ったタンクやジョウロを手に、3グループに分かれて斜面に散らばりました。

効率よく燃やすために、枯れ草は山にせず帯状に集めると説明を受けた生徒たち。熊手を上手に使いながらテキパキと動き、あっという間に数本の枯れ草の列を完成させました。

準備が整うと、いよいよ着火です。一気に燃え広がらないよう高いところから、また風下から火をつけます。

無事に火がついたところで、富士見パノラマリゾートの職員の方が「素人さんにはできない伝説の技があるから」と、華麗な熊手さばきを披露。枯れ草の列に沿うよう熊手で火を横へ横へと流していきます。「おお〜すごい!」。見守っていた高校生からは感嘆の声が上がります。

その後生徒たちも「伝説の技」に挑戦。慣れない作業に戸惑いながらも、なんとか火を流していきます。煙の多さに苦戦する場面もありましたが、終始楽しそうな生徒たち。最後は水をかけて消火し、この日の作業を終えました。

初めての野焼き作業で感じたこと

ほとんどの生徒にとって初めての体験であった野焼き。「新たな植物の生長を促すなど、環境整備につながっていることがわかった」「熊手を使って火を流す作業は、加減を間違えると火事になりかねないので難しかった」「煙が目に入って大変だった」など、生徒からは実際に作業したからこその感想が。手足を動かし実践するサスティナブルプロジェクトは、自然との関わり方を学ぶ格好の機会になっているようです。学生たちとの活動はこれからも続きます。

(記事番号:1-2-10)

(LP)富士見パノラマリゾート サスティナブルプロジェクト

(前記事)富士見パノラマリゾートで富士見高校園芸科の高校生がサスティナブル堆肥つくりを体験

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